O&M事業者にとって、パワコンの交換をきっかけに、発電量を高めるリパワリングを積極的に提案するのも一つの手だ。それは、O&M事業者、太陽光発電事業者、そして広くは日本社会にまでメリットをもたらす。
太陽光発電所の“価値”を高める「リパワリング」。それは、O&M事業者にとって今後のスタンダードとなるソリューション提案だ。
高性能な新型パワコンへの置き換えがリパワリングの一般的な方法だが、使用しているモデルのパワコンにそのままリプレースするのとは異なり、コストアップとなる場合も確かにある。
しかし、メリットがコストを上回るのであれば、発電事業者にとっては願ってもない話だ。
「リパワリング特集」で紹介した九州電力管内のこちらの案件では、「リパワリングをする方が高額だったが、売電収入UPによってコストパフォーマンスにすぐれるという試算が示された」という。
発電事業者には売電収入増による事業性向上というメリット、リパワリングを行うO&M事業者には販売・施工収入が高まるというメリットが、リパワリングによってもたらされる。
そして、太陽光発電所による発電量が高まれば、その分、日本の脱炭素化に貢献できる。
リパワリングビジネスの進展は、そのような好循環をもたらすのだ。
近い将来、保証期間切れなどによるパワコン交換のタイミングは訪れる。しかし、その時を待たずとも、今まさに、O&M事業者にとってのビジネスチャンスがあるのだと言って過言ではない。
なぜなら、通常のパワコン交換のタイミングを待たずとも、リパワリングの判断がなされることも少なくないからだ。実際、先に挙げた事例では、運転開始8年のタイミングでリパワリングを提案し、それをオーナーが採用した。また、連系開始からわずか2年で交換に踏み切ったという事例もある(参照:「新型パワコンへの早期交換」というリパワリング方法)。
パワコン交換が訪れることや、経年による発電量の低下を十分に理解していない発電事業者もいるだろう。そして、新型パワコンのすぐれた性能やオプティマイザの持つ発電最適化機能なども、やはり皆が知っているというわけではない。
出力制御のオンライン制御によるメリットともなれば、太陽光発電所の事業性に目を光らせている事業者以外は、しっかりと把握できていない方が多いのではないだろうか。
つまり、発電事業者に代わってリパワリングによる事業性向上を検討するのは、太陽光発電所の状況を把握しているO&M事業者だからこそできること、ともいえるのだ。
リパワリングによって太陽光発電所のさらなる安定稼働が確保され、発電量が増えれば、上述の通り2050年カーボンニュートラルの実現にも一歩近づく。
リパワリングビジネスの積極的な進展に期待したい。