政府は12月27日、2025年度の予算案を閣議決定した。一般会計の総額は115兆5415億円と過去最高となった。石破首相は、閣議決定の冒頭で、「AI(人工知能)・半導体分野の投資促進、GX(グリーン・トランスフォーメーション)投資促進、これを官民連携の下で着実に進め、成長力を強化し、新たな需要を作りたい」と述べ、GX関連事業が、来年度予算の目玉の1つであることを強調した。
経済産業省が公表している次年度予算案の公表資料によると、GX・脱炭素エネルギー分野に1兆 2487億円を割いている。
個別の施策で、予算額が大きくなっている項目は、脱炭素技術の国内サプライチェーンに関するもので、「水素等のサプライチェーン構築のための価格差に着目した支援事業」に3897億円、「GXサプライチェーン構築支援事業」に1460億円と、1000億円を超える大きな規模になっている。
「価格差に着目した支援事業」とは、再生可能エネルギー由来のグリーン水素やグリーンアンモニア、グリーンメタン(eメタン)に対して化石燃料との価格差を補てんする仕組みで、水素社会促進法によって導入が決まっている。
また、「GXサプライチェーン構築支援事業」は、再エネや水素関連の国内製造を後押しするため、大規模な生産設備に投資する事業者に対して補助金を支給するもので、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力設備、水電解装置などを想定している。
すでに政府は、積水化学工業が取り組むペロブスカイト太陽電池の製造事業に対して2030年までに年産1GWの量産に向けた投資額の総額3145億円のうち半分となる1572.5億円を補助金として支援することを決めている。
このほか、再エネに関しては、コーポレートPPA(電力購入契約)による開発案件と、フィード・イン・プレミアム(FIP)案件への蓄電池の併設を支援する。「需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」で、98億円を計上した。
系統用蓄電池(蓄電所)の設置についても今年度に引き続き、支援する。「再エネ導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業」で、国庫債務負担行為を含めて総額400億円とし、次年度分は150億円を計上した。
また、ペロブスカイト太陽電池については、生産設備への投資を支援するとともに、開発面についても支援する。フィルム型に関しては、すでにGI基金で開発支援しているが、来年度予算で、ガラス基板によるタンデム(積層)型の開発や、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置・施工手法についても、支援する。「太陽光発電大量導入への課題解決に向けた技術開発事業」として、32億円を計上した。
ペロブスカイト太陽電池を設置・導入する際の支援では、環境省が50億円の補助金を確保しているほか、経産省は、福島県での再エネ導入促進支援として52億円を用意し、その対象にペロブスカイト太陽電池、阿武隈山地などにおける風力設備などを挙げている。