クリハラントが君津市に蓄電所を稼働、高圧連系で7.6MWh

火力・原子力プラントの電設工事を手掛けるクリハラント(大阪市)は12月19日、千葉県君津市に「クリハラント千葉君津蓄電所」の開所式を開催した。出力1.999kW、容量7596kWhの系統用蓄電池で、予定より1カ月早く完成し、19日から運用を開始した。

 蓄電池システム全体のインテグレーターは、TMEIC(ティーマイク)で、日々の運用業務は、関西電力グループのE-Flow(大阪市)に委託した。

 リチウムイオン蓄電池は3元系で、韓国LGエナジーソリューション製を採用し、5つのコンテナに収納した。蓄電池の充放電を制御するパワーコンディショナー(PCS)と、蓄電池の状態を管理するFBSC(Front Battery Control System)盤はTMEIC製、そして、こうした蓄電池システムを統合制御するエネルギー管理システム(EMS)は、同社製の「TMAurora(TMオーロラ)」を採用した。土木工事は永塚建設、電気工事は小川電設工業、連系変電設備は、ABB製を採用した。

 経済産業省の系統用蓄電システム・水電解装置導入支援事業(令和4年度補正)に採択されたもので、同社にとって初めての系統用蓄電池事業になる。

 12月19日以降、商用運転を開始し、まず、卸電力市場の価格変動を利用して収益を上げる裁定取引(アービトラージ)を開始し、2025年3月までには、一般送配電事業者(TSO)が主催する需給調整市場に参加して、調整力を提供することでも収益を確保する。

 「クリハラント千葉君津蓄電所」は、クリハラントが建設・運営している約4MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の空きスペースを利用して建設した。メガソーラーに併設されているが、太陽光発電の電力を充電する再エネ併設型蓄電池ではなく、系統用蓄電池として、太陽光発電とは別の連系点から配電線に充放電する。

 クリハラントは、火力・原子力プラントの電設工事を主体に成長してきたが、2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)を機に再生可能エネルギー分野にも積極的に取り組み、自社発電所として太陽光、小水力、バイオマス、そして系統用蓄電池を合わせて出力約20MWの発電所と蓄電所を運営しているほか、高圧や特別高圧連系するメガソーラーのEPC(設計・調達・施工)、O&M(運営・保守)サービスの受注案件も多い