山梨県とやまなしハイドロジェンカンパニー(YHC、甲府市)、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、エナジープールジャパン(EPJ、東京都港区)、東光高岳は8月28日、甲府市の米倉山電力貯蔵技術研究サイトに設置された固体高分子(PEM)型の水電解装置を活用して需給調整市場(一次調整力)に参入したと発表した。
需給調整市場の一次調整力は、電力の品質維持に不可欠な周波数の維持に用いられ、周波数変動を検知した後10秒以内に要求される調整力を供出する必要がある。これまでは大規模発電所や系統用蓄電所などにより供出されていた。
今回の一次調整力供出では、PEM型水電解装置の高い応答性を活用する。水電解装置の出力は1500kWで、供出可能量も最大1500ΔkW(ラムダ・キロワット=瞬時の応答性)になる。需要リソース(ネガワット)として、周波数が低下した場合に系統からの受電電力を下げることで調整力を供出する。
水電解装置を運営する山梨県およびやまなしハイドロジェンカンパニーが東電EPとDR(デマンドレスポンス=需要応答)契約を締結し、東電EPがエナジープールジャパンへDR運用委託する。また、東光高岳がエネルギー管理システム(EMS)を構築した。同市場の参入に必要となる事前審査に3月合格し、実運用に必要な準備が整ったことから、7月15日に調整力を初めて供出した。
電力需要家の設備を活用した一次調整力の供出は、すでに欧州などで先行的に事業化されている。一方で、PEM型水電解装置を用いて一次調整力を供出した今回の取り組みは、世界に先駆けた事例になるという。