住宅用太陽光の火災事故 が増加、NITEが注意喚起

    製品評価技術基盤機構(NITE)は9月1日、防災の日を機会に、住宅用太陽光発電設備の事故を起こさないための対策として、日々の確認を行うよう注意喚起した。

 具体的には、台風の来る前や通り過ぎた後に不具合を確認することで事故の発生を未然に防ぐことができる。また、発電モニターの前年同月の発電量を比較することで事故発生の前触れを検知できるなど、日々の確認で事故発生を防ぐことが可能という。

 住宅やマンションに設置される出力10kW未満の太陽光発電設備は、主に太陽光パネル、接続箱、配電系、パワーコンディショナー(PCS)から構成される。出力10kW未満の太陽光発電設備は、電気主任技術者の専任や国への保安規定の届出は免除されるが、技術基準の適合義務が課される。

 NITE製品安全センターが受け付けた製品事故情報では、2015〜2024年度の10年間に住宅用太陽光発電設備の事故は260件発生しており、ここ数年、増加傾向にある。260件のうち約9割の239件が火災になる。事故発生の設備ごとの内訳は、PCSが170件で約7割、太陽光パネルが41件で約2割弱、接続ケーブルが18件、蓄電池が14件、その他設備が17件。

 事故原因は、PCSの場合は、施工不良を除くと、設置環境(温度、湿度、水分、ほこり)などの要因による電気回路基板などのトラッキング現象による発煙が多かった。太陽光パネルの場合、飛来物など外的要因でパネルが破損し通電異常により発熱、裏の端子ボックスから配線系や接続箱が影響を受け発火延焼していた。

 注意すべきポイントとして、太陽光パネルは発電モニターの電力量をこまめにチェックすることを求めている。同年同月の発電量と比較することで、事故の前触れを検知できる場合がある。また、台風の飛来物などによりパネルが損傷した場合も発電量が大きく変わる可能性がある。

 PCSや接続箱などは、屋外設置の場合、雨や砂塵、虫の侵入を受けやすい状態になっていないか、注意の環境を注意する必要がある。また、可能な範囲で外観異常や異音・悪臭がないかチェックする。新規導入の場合、施工業者に設置場所を事前確認する。

 定期点検は設置後1年目、その後は住宅用で4年に1度の実施を推奨する。点検項目は、設置後の年数やその間の使用・故障状況により異なるので、販売店・工務店・メーカーなど専門業者に相談する。製品寿命は、太陽光パネルは20年以上、PCSは10〜15年とされる。

 特に太陽光発電設備は、破損や浸水した場合でも光が当たれば発電することがあり、破損箇所やケーブルに接触した際に感電する危険性がある。事故発生時は、関係者以外が不用意に立ち入らないよう対策を行うよう、また破損設備が飛散しないようシートで覆うなど二次被害の発生防止にも努めるよう求めている。