川崎汽船は、同社のフランス子会社が開発を進めている、風力を利用して船舶の推進力を補助する自動カイト(凧)システム「Seawing(シーウイング)」について、開発の第1段階(フェーズ1)が6月に完了したと発表した。陸上の試験場で300m2サイズのカイト(凧)を使用して張力やシステムの性能を検証し、良好な結果を確認したという。
Seawingは、風力推進補助装置(Wind-Assisted Propulsion System=WAPS)の一種で、自動的に展開・格納されるカイトを用いて上空の風を捉える仕組み。単体で得られる推力が比較的大きいのが特徴。汎用性も高く、さまざまな船種や新造船のほか既存船にも搭載できるという。
仏AIRSEAS(エアーシーズ)が開発した技術で、2020年8月に日本海事協会(ClassNK)から設計基本承認(AIP)を取得したと発表した。その後、川崎汽船が2024年1月に仏子会社OCEANICWING(オーシャンウイング)を設立し、同年2月にAIRSEASからSeawing事業を継承した。
2025年7月から更なる技術確立および実用化に向けて開発のフェーズ2を開始。カイトのサイズをさらに大きくして陸上試験場でけん引性能と信頼性を確認する。その後、洋上での利用を見据えた操作性と安全性を評価した上で、同社が保有・運航する大型バルクキャリア(ばら積み貨物船)を使い、海上で実証・実験する予定。
2年程度で試験を完了し、2027年頃の実用化を目指す。燃料消費量を10%以上削減する効果を見込んでいる。なお、船型・船速・航路・既設などの条件により効果が異なり、組み合わせによっては10%を大きく上回る効果も期待できるという。