経済産業省は、9月12日に開催した「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた実装加速連絡会」において、ペロブスカイト太陽電池の導入に関連した3事業の予算規模を公表した。2事業は、ペロブスカイト太陽電池だけを対象にしたものではないが、総額は800億円を超える規模になる。
環境省が、経済産業省と国土交通省と連携して実施する「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」では、令和8年度概算要求に50億円(令和7年度当初予算50億2000万円)を計上した。
同事業では、ペロブスカイト太陽電池の導入に向けた事前調査(建物耐荷重の調査や現地確認)や事前調査を踏まえた構造物単位での導入計画策定の支援、従来型太陽電池では設置が難しかった建物屋根・窓など・インフラ空間への性能基準を満たすフィルム型・ガラス型ペロブスカイト太陽電池の導入を支援する。補助対象は地方公共団体、民間事業者・団体など。導入初期におけるコスト低減と継続的な需要拡大に資する社会実装モデルの創出を目指す。
また、資源エネルギー庁は「太陽光発電大量導入への課題解決に向けた技術開発事業」の概算要求に31億円(同32億円)、「GXサプライチェーン構築支援事業」の概算要求に792億円(同610億円)を計上した。
太陽光発電大量導入への課題解決に向けた技術開発事業は、「新市場に向けた次世代型太陽電池の研究開発」「長期的に安定な電源として維持するための技術開発」の2事業を実施する。2025年度〜2029年度の5年間で8件の技術の確立を目指す。
前者開発事業の目的は、結晶シリコン太陽電池を超える性能の次世代型の開発と屋外暴露による実証評価、設置場所に応じた太陽電池システムの開発。後者開発事業の目的は、既存発電設備のトータルコスト低減に向けた技術開発、設置場所に応じた安全ガイドライン策定、リサイクル技術、日射量予測技術、次世代太陽電池の評価技術を確立するための技術開発としている。
GXサプライチェーン構築支援事業は、GX分野の国内製造サプライチェーン確立に向け、水電解装置、浮体式などの洋上風力発電設備、ペロブスカイト太陽電池、燃料電池、HVDC(高圧直流送電)ケーブル、関連部材や製造設備について、大規模投資を計画する製造事業者、または国内で生産が限定的な部素材や固有の技術を持つ製造事業者などに対して補助する。洋上風力産業ビジョン(第2次)に掲げる2040年までに国内調達率65%以上達成など、対象分野ごとに成果目標を個別に設定する。