新電力のLooopは2021年10月14日、住宅向け太陽光発電システムと蓄電池、ガス給湯器を組み合わせた新サービス「とくするソーラー 蓄電池付きプラン」を発表した。太陽光発電に加え、蓄電池を導入しても、光熱費の削減によって経済メリット得られることをうたったプランで、同日より離島を除く全国で販売を開始した。
新サービスの記者発表会に登壇したLooopの中村創一郎 代表取締役社長とスマートライフ事業部企画開発課の若林輝男課長
新プランは、同社が以前から展開している太陽光発電システム「Looop Solar」と蓄電池「エネブロック」、電気とガスのいずれでも給湯が可能なハイブリッド給湯器、これら3つの機器を設置する。
太陽光発電で発電した電力は、蓄電池を組み合わせて効率的に自家消費を行い、光熱費を削減に活用。ハイブリッド給湯器は、ガス代の削減に寄与する。新プランでは、これらの機器の活用による電力およびガス料金の削減に加え、ユーザー側で太陽光発電の余剰電力の売電収益も受け取ることができる。余剰電力については、最初の10年間は固定買取価格(FIT)で、それ以降は、いわゆる卒FIT電源として、Looopに売電するかたちになる。電力契約については「Looopでんき」の契約が必須だが、ガス契約についてのしばりはない。Looopでんきについては、太陽光発電システムや蓄電池の導入などによる、いわゆる「セット割」が適用される。
3つの機器のうち、太陽光発電システムと蓄電池はLooopがリースで提供し、その際、初期費用などは発生しない※。ハイブリッド給湯器については、住宅メーカーや工務店などのサービス取次店から購入するかたちになる。これは、太陽光発電システムと蓄電池の導入費が住宅ローン枠に影響しないようにするための工夫で、住宅メーカーや工務店の他の設備提案に影響を与えないメリットがあるとしている。
※初出時「3つの機器は全てリースでの提供」と記載していましたが、正しくは太陽光発電システムと蓄電池のみでした。お詫びして訂正致します。
太陽光発電、蓄電池、ハイブリッド給湯器、これら3つの機器のリース費用を、光熱費の削減分と売電収益を合わせたコストメリットが上回るため、一般にはまだ高額といわれる蓄電池を設置しても経済メリットが生まれる――というのが新プランの特徴だ。
リース費用はFITで余剰電力売電が行える10年を超えると安くなる仕組みで、15年経過すると全ての設備はユーザー側に譲渡される。この2段階のリース料金設定は、一般にFITによる余剰電力の買取価格より、卒FIT太陽光の買取単価のほうが低いため、10年以降はユーザー側の売電収益が下がることに配慮したもの。今回のプランにおけるLooopの卒FIT太陽光(新プランの11年目から)の買取単価は、現時点で北海道・東北・東京エリアで8円/kWh、それ以外のエリアで7円/kWhとなっている。
リース費用の支払イメージ。11年目からはリース費用が減額され、16年目に設備はユーザー側に譲渡される
Looopの試算では、関東圏内において、月の電力使用量が400kWh、月のガス使用量が56m3の家庭が、新プランで太陽光発電を6kW、蓄電池容量7.2kWhを導入した場合、新プランを導入しない場合と比較して月額2200円程度のコストメリットがあるとしている。
なお、日本における住宅太陽光の平均設置容量は、1件当たり4.5kW前後といわれるケースが多いが、「電気やガスの使用量によるものの、新プランでは太陽光発電は4kW程度の設置量でも十分にメリットが生まれるケースもある」(Looop スマートライフ事業部 企画開発課 課長の若林輝男氏)としている。
今回の新プランでは、ユーザーの住宅屋根面積や、使用電力量などから設置する太陽光発電システムの出力規模を決めることになる。また、その設置容量に合わせて蓄電池の容量も柔軟に変更できるのが特徴だ。
新プランで設置する蓄電池はLooopオリジナルブランドの蓄電池「エネブロック」。最小蓄電容量が2.4kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池で、複数台を組み合わせることで、一度設置した後でも最大6台、蓄電容量14.4kWhまで追加工事不要で連結できる。1台当たりの外形寸法は、横44×縦9×奥行き41cmで、重量は24kg。設置は屋内のみの対応となっている(付属のDCコントローラーの設置は屋内外に対応)。
なお。停電時には特定のコンセントのみに電力供給を行う特定負荷タイプ(100V/最大出力2kW)と、200V仕様のエアコンや家庭用給湯器「エコキュート」を含む宅内全ての電気(200V含む/最大出力3kW)を丸ごとバックアップできる全負荷タイプから選択できる。
Looopでは今回の新プランについて、太陽光パネルと蓄電池をともに導入しても経済メリットを導入できる「国内初のプラン」(同社)と位置づけ、新築住宅を中心に2021年度内に5000件の契約を目指す方針だ。