大成建設とカネカは2019年12月、太陽電池と窓や外壁などの建材を一体化した外装システム「T-Green Multi Solar」を開発したと発表した。ビルなどの外壁において、意匠性や利便性を確保しながら太陽光発電が行え、省エネや災害時の非常用電源として活用できるという。
開発した太陽電池一体型の外装システムの導入イメージ 出典:大成建設
開発した外装システムは2種類。1つは太陽電池を、外装パネル化したソリッドタイプ。太陽電池の電極線が見えないように工夫されており、外壁としての意匠性を高めたモデルだ。もう1つは、主に窓部などへの導入を想定して、シースルータイプ。両面発電が可能な薄型の太陽電池を窓ガラス材で挟み込む形状となっており、高い透過率と発電効率の両立を目指した。
なお、耐久性については、一般的な外装材と同等としており、太陽電池が外装材と一体化しているため施工性に優れる他、発電は30年以上持続可能としている。停電時には独立した非常用電源として使用可能で、蓄電池と組み合わせることにより、使用範囲や期間を自由に設定できる。
省エネやBCP(事業継続計画)対策を目的に、建物の屋上などに太陽光発電設備を計画する場合、課題となるのが設置スペースを確保できないという問題だ。そこで大成建設では、2014年に建設した同社技術センター内のZEB実証棟において、外壁など外装を利用した太陽電池ユニットを開発・適用し、発電性能の検証・改善などに取り組んできた。しかし、発電効率の向上と意匠性の両立が課題となっていた。
一方、カネカは太陽光発電モジュール製造技術に加え、瓦(かわら)と太陽電池が一体化した建材を開発するなど、建材と太陽光発電の組み合わせについてのノウハウを持つ。そこで今回、両社のノウハウを活用し、導入外壁や窓で発電でき、意匠性も備える外装システムとして、T-Green Multi Solarを開発したとしている。