非FITのバイオマス発電所、松阪市で試運転開始

バイオマスパワーテクノロジーズ(三重県松阪市)は、製造業の生産副産物と木質チップを燃料に利用したバイオマス発電所「パワーエイド三重シン・バイオマス松阪発電所」について、12月16日から試運転調整を開始した。固定価格買取制度(FIT)を利用しない発電所で、地元経済に根付いた小規模分散電源の第1弾という。

 同発電所は、木質系燃料に加えて、キノコなどの廃菌床、清涼飲料水の茶滓・コーヒー滓といった製造業由来の生産副産物、廃プラ・廃ゴム・スポンジ製品などの非化石燃料と最適に混合して使用する。

 「シン・バイオマス」の「シン」には、海外産木質チップなどを使いFITで売電する従来型のバイオマス発電所に対するアンチテーゼの意味を込めたと説明する。

 発電出力は1.99MW、年間発電量は約4000世帯分に相当する1647万kWhを見込む。発電設備は、タクマ製の木質燃料焚きニューマチックスプレッダ式逆走トラベリングストーカーボイラーおよび抽気復水タービン発電設備を採用する。今後、2025年1月24日に火入れ式を実施し、1月30日に負荷試験調整、2月10日に発送電を開始し、3月15日に完成検査、3月16日に竣工・運転を開始する予定。

 燃料には、ホクトの三重きのこセンターから排出される使用済み培地(廃菌床)、中部圏の近隣から排出される木材チップおよび廃プラスチックを固形化したRPFを用いる。発電した電力は、ホクトの三重きのこセンターに対してオフサイト型PPA(電力購入契約)により供給する。

 総事業費は約26億円。うち6億円をGK-TKスキームによる匿名組合出資で調達した。20億円は、みずほ銀行をアレンジャーとする9行でのシンジケートローンで融資を受けた。この長期借入では、日本格付研究所から格付け最高位であるGreen1のグリーンローンと評価された。

 バイオマスパワーテクノロジーズは、2021年7月に設立し、三重エネウッド、大成産業、ホクト、RE諏訪湖、バイオマスパワーテクノロジーズが出資する。今後、ホクトが運営する他の生産拠点を中心に同様のスキームで、まずは国内10カ所程度のバイオマス発電所を展開する目標を掲げている。