2022年1~2月の電力需給の見通しは、事前の予測と変わらず厳しい状態が続いている。経済産業省は、新しく需給逼迫の対策として2つの案を示した。発電事業者に増出力を依頼する「自家発焚き増し要請」と「kWh公募」の動向に注目だ。
今年5月に経済産業省は2022年冬の電力需給の見通しを発表している。それによると、予想される需要電力に対して供給力の余裕(供給予備力)を示す供給予備率が、2022年1~2月にかけて低迷するという。中でも、東京電力エリアにおける供給予備率は最低限必要とされる8%を割り込むとされていた。(参考『【電力需給・2021年夏予想】予備率3%台が予想されるエリアも。冬季の需給見通しも厳しく』)
供給力を確保するため、経済産業省は、発電事業者に対し発電所の補修や点検などによる停止時期を調整するよう依頼した。また、東京電力エリアにおいては、追加の調整力公募を行うなどして対策が急がれている。
2022年度の[月別]電力需給見通しにおける供給予備率
(出典:経済産業省 第39回 電力・ガス基本政策小委員会)
9月24日の経済産業省の電力・ガス基本政策小委員会では、電力需給の逼迫対策として、さらに「自家発焚き増し要請」「kWh公募」の2つが新たに提案された。
「自家発焚き増し要請」とは、電力逼迫が予想されるときに、自家発電設備をもつ発電事業者や需要家に自家発電の増出力などを依頼するものだ。基本的には、発電事業者や需要家が契約中の小売電気事業者やアグリゲーターを通して依頼が行われる。この「自家発焚き増し要請」の詳細や費用精算の方法については、今後検討が進められるとした。
(出典:経済産業省 第39回 電力・ガス基本政策小委員会)
「kWh公募」は、電力量の確保策として提案されたもので、主に火力発電事業者に向けて、追加的な発電の燃料調達のためのインセンティブとすることを目的とする。「kWh公募」が行われるとすれば、冬季の需給逼迫が予想される1~2ヶ月前の11月ごろになるとみられ、制度の動向から目が離せない。